お別れホスピタル(沖田×華)1巻を読んで感想。ちょいネタバレ注意。
沖田×華さんといえば「透明なゆりかご」で有名です。
透明なゆりかごでは小さな命をテーマに描かれていましたが、今回は死について描かれている作品です。
主人公は終末期病棟で働く辺見さん(看護師)のお話。
この病棟には回復の兆しがなく、死を待つだけの患者が入院している。
その中の一人、太田さんは寝たきりで、糖尿病を患っていて認知症の患者さん。
毎日、毎時間、「カントリーマアムを~~~~~!!くーだーさーい!!」と叫んでいる。
認知症なのでカントリーマアムをあげてもすぐに忘れてしまう。
お気に入りの御菓子をねだるのでみんなから「カントリーばあちゃん」と呼ばれている。
同室の野中さんは寝たきりに加えて旦那の介護ウツのせいで暗い性格のため、めったにしゃべらない。
同じく同室の山崎さんは独身で元仲居だったからか、とて気さくで世話焼きな人。
102号室はこのメンバーで仲良く!?過ごしている。
(辺見)この病院は、20代で入ってくるナースには向いていない。
回復して退院できる一般病棟とは異なり、ここでは看護師としてのスキルが上がることはないからだ。
だから新人ナースは1年ぐらいで辞めてしまう・・・
このマンガを見てると改めて看護師さんの仕事って大変なんだなと思います。
日頃こんなに内部事情!?まで知ることがないので興味本位で読みましたが、彼女たちのありがたみが湧きました。
中でも、病院存続の為には仕方ないところはあるかもしれないけど、モヤモヤした部分もあります。
死に慣れ過ぎて麻痺している先生の言葉なんかは、はっさくからすると衝撃でした。
(辺見)すべての治療は内容ごとに点数が決められていて、病院に報酬が支払われている。
中でも人工呼吸器などの延命治療がもっとも高い点数なので・・・
延命を必要とする患者を数多く受け入れるほど儲かる仕組みになっている。
子育て真っ最中のはっさくには重い言葉もありました。
(辺見)子供というのは結局ーー
「親が育てたように育つ」ということ。
子供を痛めつけて育てた親は、自分が年老いた時・・・
子供に痛めつけられながら世話をされる。
子供を突き放し続けて育てた親は・・・
動けなくなったら、子供に見放される。
そういうふうにできているのだーーー
さらっと描かれているようで、一言一言に重みがあります。
この病院では積極的な治療はしない。
苦痛を抑える対処療法をするだけだ。
痛み止めはほんの一時的なもの。
数時間後にはまた元に戻ってしまう。
こんなにやさしくていい人なのに・・・
最後の最後までーー
苦しい思いをしなきゃいけないなんて・・・
人生はあまりにも、理不尽すぎる。
看護師さんの前と家族の前では人柄がガラッと変わってしまう認知症のおばあちゃんの話も興味深かったです。
はっさくは、身内がいない孤独なマサさんの話に涙しました。
死に直面している人の看護をしていると死とはなにか?生きるとはなにか?という疑問が常に頭のなかにあるのですかね。
いろんな人間の背景を感じながら、命の最後がくるまでを淡々と描かれていますが、それが逆に重く心に残る作品です。
自分の最後の時なんて、今はまだ考えられないけど誰にでもやってくる命の終わり。
どうやって自分の最後を迎えたいか・・・・
深い深いテーマです。
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